ASMRが気持ち悪い理由を科学的に解明!好きな人の特徴や心理との違いとは

ASMRが気持ち悪い理由を科学的に解明!好きな人の特徴や心理との違いとは
ASMRが気持ち悪い理由を科学的に解明!好きな人の特徴や心理との違いとは

結論:ASMRを「気持ち悪い」と感じるか「心地よい」と感じるかは、個人の脳の特性や心理状態による科学的根拠のある反応です。

決してあなたがおかしいわけではありません。

この記事では、そのメカニズムを脳科学や心理学の観点から徹底的に解説します。

「どうして周りの友達はASMRでリラックスしているのに、自分は咀嚼音などを聞くと不快な気分になるんだろう…」そんな風に感じたことはありませんか?

その感覚の違いには、実は明確な理由が存在します。

この記事でわかること 3 点

  • ASMRを気持ち悪いと感じる脳の仕組みとミソフォニアとの関連性
  • ASMRを好き・心地よいと感じる人の心理的特徴とリラックス効果の正体
  • 科学が解き明かす「好き嫌いの違い」と、苦手な人でも楽しめるASMRジャンル
目次

そもそもASMRとは?なぜ世界的に流行しているのか

このセクションでは、まずASMRという言葉の基本的な意味と、なぜこれほどまでに世界中で人気を博しているのか、その背景を解説します。

ASMRの現象を客観的に理解することで、なぜ人によって感じ方が大きく異なるのか、その後の科学的な解説への理解が深まります。

ASMRの正式名称と「脳がとろけるような感覚」の正体

ASMRとは、Autonomous Sensory Meridian Response(オートノマス・センサリー・メリディアン・レスポンス)の略称で、日本語では「自律感覚絶頂反応」と訳されます。

少し難しい言葉ですが、これは特定の視覚や聴覚からの刺激によって引き起こされる、頭部から背中にかけてゾクゾクするような、心地よい感覚のことを指します。

多くの人が表現する「脳がとろけるような感覚」や「脳がゾワゾワする感じ」が、まさにこのASMRです。

重要なのは、これが単なる「好きな音」というレベルの話ではなく、ある種の生理的な反応であるという点です。

ささやき声、キーボードのタイピング音、ページをめくる音、雨音など、人によってトリガー(きっかけ)となる刺激は様々ですが、共通しているのは、それらが心身をリラックスさせ、深い心地よさをもたらす可能性があるということです。

YouTubeから始まった文化:なぜこれほど人気を集めるのか?

ASMRは、2010年頃からYouTubeを中心に広がり始めました。

当初は一部のコミュニティで共有されるニッチな文化でしたが、スマートフォンの普及と動画コンテンツの消費拡大に伴い、爆発的に人気が高まりました。

その背景には、現代社会が抱えるストレスが大きく関係していると考えられています。

情報過多で常に緊張を強いられる日常の中で、多くの人々が手軽に得られる「癒し」や「リラックス」を求めるようになりました。

ASMR動画は、イヤホン一つあれば、いつでもどこでも深いリラクゼーション体験を提供してくれます。

特に、誰かが自分のためだけに優しく語りかけてくれるような感覚は、孤独感を和らげ、安心感をもたらす効果もあるのかもしれません。

このように、ASMRは単なる流行の音コンテンツではなく、現代人の精神的なニーズに応える形で、一つの巨大な文化として定着したのです。

ASMRがもたらすと言われる主な効果(リラックス、睡眠導入など)

ASMRが多くの人に支持される理由は、その心地よさだけでなく、具体的な心身への良い効果が期待されているからです。

科学的な研究はまだ発展途上ですが、体験者からは主に以下のような効果が報告されています。

  • リラックス効果・ストレス軽減: 心地よい刺激が副交感神経を優位にし、心拍数を落ち着かせ、心身の緊張を和らげます。
  • 睡眠導入(不眠の緩和): 穏やかな音に集中することで、余計な思考が静まり、自然な眠りにつきやすくなります。そのため、「睡眠用ASMR」というジャンルも非常に人気です。
  • 集中力の向上: カフェの雑音のように、適度な環境音としてASMRを流すことで、勉強や作業への集中力が高まるという報告もあります。
  • 気分の改善・不安の軽減: 脳内で幸福感や安心感に関わるホルモンが分泌される可能性が指摘されており、一時的に気分を高揚させ、不安感を和らげる効果が期待されます。

ただし、これらの効果の感じ方には非常に大きな個人差がある、という点がASMRを理解する上で最も重要なポイントとなります。


【科学的根拠】ASMRを「気持ち悪い」「不快」と感じる3つの理由

さて、ここからが本題です。

なぜ、多くの人が心地よいと感じるASMRを、一部の人は「気持ち悪い」「不快だ」と感じてしまうのでしょうか。

その原因は、あなたの感性がおかしいからではありません。

脳の働きや音に対する本能的な反応といった、科学的な根拠に基づいています。

このセクションでは、そのメカニズムを3つの観点から深掘りします。

脳の防御反応:特定の音が「危険信号」として処理される

私たちの脳は、常に周囲の環境から入ってくる情報を処理し、生命の安全を確保しようと働いています。

特に聴覚は、危険を察知するための重要なセンサーです。

例えば、静寂の中で突然ガサガサという音がすれば、私たちは無意識に「何かがいるかもしれない」と警戒します。

ASMRで使われる音の一部、特に湿った音や粘着質な音、あるいは至近距離でのささやき声などは、人によっては脳が「潜在的な危険」と判断してしまうことがあります。

例えば、ヘビが草むらを這う音や、捕食者が獲物を食べる音などを連想させるのかもしれません。

このような場合、脳の扁桃体(へんとうたい)と呼ばれる、恐怖や不安といった情動を司る部分が活性化します。

その結果、心地よさとは真逆の、不快感や嫌悪感、あるいは逃げ出したいという防御反応が引き起こされるのです。

これは、生き延びるための本能的なメカニズムが働いている証拠と言えるでしょう。

ミソフォニア(音嫌悪症)との関連性:あなたは病気ではなく「脳の特性」かも

ASMRが気持ち悪いと感じる理由として、近年注目されているのがミソフォニア(Misophonia)という概念です。

これは日本語で「音嫌悪症」と訳され、特定の生活音に対して、極端な嫌悪感や怒り、不安といったネガティブな感情反応が引き起こされる状態を指します。

重要なのは、ミソフォニアは単なる音の好き嫌いではなく、特定の音(トリガー音)を聞くと、自律神経系が過剰に反応してしまう脳の特性であるという点です。

トリガー音として報告が多いのが、まさにASMRで多用される咀嚼音(そしゃくおん)、鼻をすする音、タイピング音などです。

ミソフォニアの特性を持つ人の脳は、これらの音を処理する際に、感情や記憶に関わる領域と聴覚皮質の結びつきが通常よりも強いことが研究で示唆されています。

つまり、音が鳴った瞬間に、ネガティブな感情が自動的に、かつ強烈に呼び起こされてしまうのです。

もしあなたが咀嚼音などに強い不快感を覚えるなら、それはミソフォニアの傾向があるのかもしれません。

これは病気というよりは、脳の個性や特性と捉えるのが適切です。

▼もしかして?ミソフォニアのセルフチェックリスト

チェック項目内容
食事の音他人の食事の音(くちゃくちゃ、ズルズルなど)を聞くと、耐えられないほどの嫌悪感や怒りを感じる。
特定の繰り返し音キーボードのタイピング音やペンのノック音など、特定の繰り返し音が非常に気になる。
身体的な反応その音を聞くと、動悸がしたり、その場から逃げ出したくなったりする。
社会的な悩みなぜ自分だけがこんなに気になるのか、他人に理解されず悩んだことがある。

※これらはあくまで簡易的なチェックリストです。正確な診断には専門医への相談が必要です。

生理的嫌悪感:咀嚼音などが本能的に不快感を誘発するメカニズム

たとえミソフォニアでなくとも、咀嚼音や口をクチャクチャさせる音に生理的な嫌悪感を抱く人は少なくありません。

これには、社会的なマナーの問題だけでなく、もっと本能的なレベルでの理由が考えられます。

一つは、衛生観念との結びつきです。唾液や食べ物が混ざり合う音は、非衛生的、あるいは病原体を連想させ、本能的な回避行動を促す可能性があります。

また、他者の口腔内というプライベートな空間から発せられる生々しい音は、パーソナルスペースへの侵入と脳が認識し、不快感を生じさせることも考えられます。

私自身も、認知科学の観点から音と感情の関係について学んできましたが、特に「口」に関連する音は、多くの文化で公の場で出すことがタブー視されています。

これは、共同体の秩序や衛生を保つために、人類が進化の過程で身につけてきた感覚なのかもしれません。

ASMRの咀嚼音が、この社会的に抑制されてきた音を増幅して聞かせるものであるため、強い抵抗感や嫌悪感につながるのも、ある意味で自然な反応と言えるでしょう。

このセクションの記述は、ニューカッスル大学のミソフォニアに関する研究(2017年, Current Biology誌掲載)などを参考にしています。


一方で、ASMRを「好き」「心地よい」と感じる科学的背景

では逆に、ASMRを心地よいと感じる人々の脳内では、一体何が起きているのでしょうか。

不快感のメカニズムと同様に、こちらも脳科学や心理学の観点から、その心地よさの正体を解き明かすことができます。

ゾクゾクするような感覚の裏には、脳内物質の分泌や、脳の特定領域の働きが深く関わっています。

脳内物質の分泌:オキシトシンやセロトニンがもたらす幸福感

ASMRの心地よさの源泉として、オキシトシンセロトニンといった脳内神経伝達物質の関与が指摘されています。

オキシトシンは、「愛情ホルモン」や「信頼ホルモン」とも呼ばれ、人とのスキンシップや信頼関係によって分泌が促されます。

誰かに髪を優しく撫でられたり、耳元で優しく囁かれたりするような感覚をASMRは疑似的に作り出します。

これによりオキシトシンが分泌され、安心感や幸福感、ストレス軽減といった効果がもたらされると考えられています。

また、セロトニンは精神の安定に寄与する物質で、「幸せホルモン」とも呼ばれます。穏やかでリズミカルな音はセロトニンの分泌を促し、気分を落ち着かせ、リラックス状態へと導きます。

ASMRがもたらすリラックス効果や睡眠導入効果には、これらの脳内物質が深く関わっている可能性が高いのです。

脳の特定領域の活性化:共感性や社会性に関わる脳部位との関係

近年のfMRI(機能的磁気共鳴画像法)を用いた研究では、ASMRを体験している人の脳は、特定の領域が活性化することが分かってきました。

特に興味深いのは、内側前頭前皮質(ないそくぜんとうぜんひしつ)と呼ばれる領域の活動です。

この領域は、自己認識や他者の感情を理解する「心の理論」など、共感性や社会的な認知機能と深く関連しています。

ASMRの動画で、演者が優しく語りかけたり、丁寧な手つきで何かを扱ったりする様子を見ることで、視聴者は自分がケアされているような感覚になります。

この時、脳の共感に関わる領域が活性化し、それが心地よさや安心感につながっているのではないか、と考えられています。

つまり、ASMRは単なる音の快感ではなく、他者とのポジティブな社会的相互作用をシミュレートする体験であるとも言えるのです。

瞑想やマインドフルネスに近い状態:脳波の変化とリラックス効果

ASMRに没入している時の脳の状態は、瞑想やマインドフルネスを実践している時に近い、という指摘もあります。

特定の音や映像に意識を集中させることで、日常の悩みや雑念から意識が離れ、いわゆる「フロー状態」に入りやすくなります。

脳波の研究では、リラックスしている状態の時に現れるα波(アルファは)や、深いリラックス・瞑想状態の時に見られるθ波(シータは)が、ASMR体験中に増加する可能性が示唆されています。

これは、ASMRが脳を覚醒状態からリラックス状態へと自然に移行させるスイッチのような役割を果たしていることを意味します。

心地よい刺激に身を委ねることで、心と思考が静まり、深い癒やしが得られるのです。


【本質の探求】ASMRの好き嫌いを分ける決定的な「違い」とは?

ここまで、ASMRに対する「不快」と「快」それぞれのメカニズムを見てきました。

では、なぜ同じ音を聞いても、人によってこれほど正反対の反応が生まれるのでしょうか。

その分岐点は、私たちの脳の配線や、生まれ持った性格特性といった、より根源的な部分にあるようです。

このセクションでは、競合サイトではあまり語られていない、好き嫌いを分ける本質的な「違い」について探求します。

脳のネットワーク構造の違い:デフォルト・モード・ネットワークの関連性

最新の研究で、ASMRの感じ方とデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)と呼ばれる脳回路の働きに関連があることが分かってきました。

DMNは、私たちが何もせずぼーっとしている時(デフォルト状態)に活発になる脳の領域のネットワークで、自己認識や記憶の想起などに関わっています。

ある研究によると、ASMRを感じやすい人は、このDMNの各領域間の結びつきが、感じにくい人に比べて弱い傾向にあることが示されました。

これは、DMNの活動が抑制されやすく、外部からの感覚情報(ASMRの刺激)に意識を完全に没入させやすい状態にある、と解釈できます。

一方で、DMNの結びつきが強い人は、ぼーっとしている時でも内的な思考(自己反省や未来の計画など)が活発なため、外部の刺激に没入しにくく、ASMRの効果を感じにくい、あるいはノイズとして処理してしまうのかもしれません。

つまり、脳の「おしゃべり」を止めやすいかどうかが、一つの分かれ道になっている可能性があるのです。

神経症傾向(ニューロティシズム)との相関:性格特性は影響するのか

心理学の分野では、個人の性格をいくつかの次元で捉える「ビッグファイブ理論」が有名です。

その中の一つである神経症傾向(Neuroticism)は、不安や緊張、気分の変動しやすさといったネガティブな感情を経験しやすい度合いを示す特性です。

複数の研究で、この神経症傾向のスコアが高い人ほど、ASMRによって不安が軽減され、気分が改善する効果が高いことが報告されています。

これは、日常的にストレスや不安を感じやすい人ほど、ASMRがもたらす安心感やリラックス効果をより強く求める、あるいはその恩恵を受けやすいことを示唆しています。

逆に言えば、もともと楽観的でストレスを感じにくい人は、ASMRから得られる精神的なメリットが相対的に少ないため、それほど魅力を感じない可能性も考えられます。

あなたの性格特性が、ASMRへの感受性を左右しているのかもしれません。

過去の経験と音の結びつき(トラウマや原体験)

脳は、特定の感覚刺激と過去の感情的な経験を強く結びつけて記憶します。

これを「連合学習」と呼びます。ASMRの好き嫌いにも、この連合学習が影響している可能性があります。

例えば、子供の頃に親に優しく髪をとかしてもらったり、耳元で絵本を読んでもらったりした心地よい記憶がある人は、ささやき声や優しいタッピング音に対して、ポジティブな感情を抱きやすいかもしれません。

これらの音が、過去の安心感や愛情に満ちた記憶を無意識のうちに呼び覚ますからです。

逆に、食事中の不快な音に関連する嫌な記憶(例えば、食事マナーについて厳しく叱られた経験など)がある人は、咀嚼音に対して強い嫌悪感を抱くことがあります。

このように、音そのものに良い悪いはなく、私たちの脳がその音にどのような感情のラベルを貼っているかが、快・不快の反応を決定づけているのです。

このセクションの記述は、シェフィールド大学などが行ったASMRと脳機能に関する研究や、パーソナリティ心理学の知見を基に構成しています。


データで見るASMRを好きな人の心理・性格的特徴5選

科学的な背景を踏まえ、ここではより具体的に「ASMRを好きな人」に共通して見られる心理や性格の特徴を5つご紹介します。

これらは統計的な傾向であり、全ての人に当てはまるわけではありませんが、ASMRを好む人々の人物像を理解する上で参考になるはずです。

特徴1:共感性が高く、他者の感情に敏感

前述の通り、ASMRの快感は脳の共感に関わる領域の活性化と関連しています。

そのため、ASMRを好む人は、もともと共感性が高く、他者の感情を読み取ったり、感情移入したりすることが得意な傾向があると言われています。

動画の中の演者の丁寧な所作や優しい声色から、ポジティブな感情を敏感に受け取り、それを自分自身の心地よさとして体験できるのです。

特徴2:内向的で、静かな環境を好む傾向

ASMRは、非常に繊細で静かな音の世界です。

そのため、大勢で騒がしく過ごすよりも、一人で静かに過ごす時間を大切にする内向的な性格の人に好まれる傾向があります。

外部からの強い刺激よりも、自分の内側にある感覚に意識を向けることを得意とするため、ASMRの微細な刺激にも気づきやすく、深く没入することができるのかもしれません。

特徴3:繊細で、五感からの刺激を受けやすい(HSPなど)

音、光、匂いといった五感からの刺激を、人よりも強く、あるいは深く処理する「HSP(Highly Sensitive Person)」と呼ばれる気質を持つ人々がいます。

彼らは、感覚的な刺激に対して非常に敏感であるため、ASMRのような心地よい刺激からも、人一倍強い快感やリラックス効果を得られる可能性があります。

一方で、不快な刺激にも強く反応するため、苦手なジャンルのASMRには極端な嫌悪感を示すこともあります。

特徴4:探求心が強く、新しい感覚や体験にオープン

ASMRは、まだ科学的に完全に解明されていない、新しく不思議な感覚体験です。

そのため、知的好奇心や探求心が旺盛で、未知の体験に対してオープンな姿勢を持つ人に受け入れられやすい傾向があります。

「このゾクゾクする感覚は何だろう?」と、自身の感覚を分析したり探求したりすること自体を楽しめる人が、ASMRの世界に魅了されやすいと言えるでしょう。

特徴5:ストレスや不安を抱えやすく、癒しを求めている

神経症傾向との関連でも触れましたが、やはり日常的にストレスや不安を感じており、心からの癒しを求めているという点は、ASMRを好む人々の大きな動機の一つです。

ASMRは、複雑な人間関係や仕事のプレッシャーから一時的に逃れ、安全で心地よい感覚の世界に没入させてくれる避難所のような役割を果たします。

心身が疲れている時ほど、ASMRの効果を強く感じやすいかもしれません。

ASMR好き・嫌い 感じ方の違い比較表

スクロールできます
特徴ASMRが心地よいと感じる傾向ASMRが不快と感じる傾向
脳の働き共感・報酬系領域が活性化。DMNの結合が弱く没入しやすい。扁桃体(恐怖・不安)が活性化。防御反応が起こりやすい。
関連する特性神経症傾向、共感性が高い。ミソフォニア(音嫌悪症)の傾向。
心理・性格内向的、繊細(HSP)、探求心が強い、癒しを求めている。衛生的、パーソナルスペースを重視する。
過去の経験音とポジティブな記憶(安心感など)が結びついている。音とネガティブな記憶(不快な経験など)が結びついている。

咀嚼音が苦手なあなたへ。不快に感じにくいASMRのジャンルと選び方

ここまで読んで、「ASMRが気持ち悪いと感じるのは自分だけじゃなかったんだ」と安心されたかもしれません。

では、ASMRの全てがあなたにとって不快なものなのでしょうか?答えはNOです。

実は、咀嚼音などが苦手な人でも心地よいと感じられる可能性のあるジャンルはたくさん存在します。

このセクションでは、ペルソナの「自分に合うものがあるなら試したい」という潜在的なニーズにお応えします。

まずはこれから!初心者におすすめのASMRジャンル3選

ASMRの世界は奥深く、多種多様なジャンルがあります。

その中でも、特に生理的な嫌悪感を引き起こしにくく、多くの人がリラックス効果を得やすいとされる3つのジャンルをご紹介します。

  • 自然・環境音(Nature / Ambient Sounds)
    雨の音、焚き火がはぜる音、波の音、森のざわめきなど。これらは人類が古くから慣れ親しんできた音であり、脳をリラックスさせる効果があると言われています。特定の意味を持たないため、思考の邪魔をせず、穏やかな気持ちにさせてくれます。
  • タッピング音(Tapping Sounds)
    指の爪で机やガラス瓶などを優しく叩くリズミカルな音。硬質な素材から発せられる乾いた音は、咀嚼音のような湿った音とは対極にあり、不快感を感じにくいのが特徴です。心地よいリズムが、思考を静めてくれます。
  • 作業音(Work / Task Sounds)
    鉛筆で文字を書く音、パソコンをタイピングする音、包丁で野菜を切る音など、何かに集中して取り組んでいる音。誰かが黙々と作業している音は、不思議な安心感があり、自分自身の作業や勉強に集中したい時のBGMとしても最適です。

ジャンル選びで失敗しないための2つのポイント

自分に合ったASMR動画を見つけるためには、いくつかコツがあります。

  1. タイトルやサムネイルで「音の種類」を確認する: 多くのASMR動画では、タイトルに「No Eating(咀嚼音なし)」「Tapping, Scratching(タッピング、ひっかき音)」のように、含まれる音の種類が明記されています。まずは、自分が苦手とする音(例:Eating, Mouth Sounds)が含まれていないかを確認しましょう。
  2. 短い動画から試してみる: いきなり1時間以上の長い動画を視聴するのではなく、まずは5〜10分程度の短い動画から試してみるのがおすすめです。もし不快に感じてもすぐに中断できますし、様々なジャンルを気軽に試すことができます。

筆者が語るASMRの好き嫌いと自分に合ったジャンルの発見

何を隠そう、この文章を書いている私自身も、かつてはASMRに対して強い苦手意識を持っていました。

特に、友人に勧められて初めて聞いた咀嚼音の動画は、正直なところ数秒で閉じてしまうほどの不快感を覚えました。

「なぜこれが心地よいのか全く理解できない…」と感じ、ASMRは自分には縁のない世界だと思い込んでいたのです。

転機が訪れたのは、ストレスでなかなか寝付けない夜のことでした。

ふと、「音でリラックス」というコンセプトを思い出し、「咀嚼音以外ならどうだろう?」と、ほんの出来心で「雨の音 ASMR」と検索してみたのです。

イヤホンから流れてきたのは、窓ガラスを叩く優しい雨音と、遠くで聞こえる微かな雷鳴。その音に耳を澄ませているうちに、いつの間にか日中の悩みや緊張が解きほぐれ、深い眠りに落ちていました。

この経験から、ASMRの好き嫌いは、単一の物差しでは測れないことを実感しました。

不快な音がある一方で、心からリラックスできる音も確かに存在するのです。

もしあなたがかつての私と同じようにASMRに苦手意識を持っているなら、ぜひ一度、騙されたと思って「自然音」から試してみてください。

新たなリラックス法が見つかるかもしれません。


ASMRに関するよくある質問(FAQ)

ここでは、ASMRに関して多くの人が抱く細かな疑問について、Q&A形式で簡潔にお答えします。

ASMRに依存性や危険性はありますか?

現時点で、ASMRに医学的な意味での「依存性」が認められたという報告はありません。

しかし、どのようなものでも過度にのめり込むと、日常生活に支障をきたす可能性はゼロではありません。

ASMRがないと眠れない、常に聴いていないと落ち着かない、といった状態になった場合は、少し距離を置いてみることも大切です。

基本的には、リラックスのための一つのツールとして、節度を持って楽しむ分には安全と言えるでしょう。

イヤホンやヘッドホンは必須ですか?おすすめは?

ASMRの魅力を最大限に体験するためには、イヤホンやヘッドホンの使用を強くおすすめします

多くのASMR動画は、左右の耳から異なる音を流すことで立体的な音響空間を作り出す「バイノーラル録音」という技術を用いています。

イヤホンを使うことで、まるでその場にいるかのような没入感や、耳元で囁かれているようなリアルな感覚を味わうことができます。

特に、耳をすっぽりと覆う密閉型のヘッドホンは、外部の雑音を遮断し、より深くASMRの世界に集中できるためおすすめです。

子供への影響はありますか?

子供がASMRを聴くこと自体に、特に危険性があるわけではありません。

リラックス効果や寝かしつけに役立つ可能性もあります。

ただし、注意すべき点もいくつかあります。

まず、長時間のイヤホン使用は聴力に影響を与える可能性があるため、音量と時間に配慮することが重要です。

また、ASMR動画の中には、演者の見た目や仕草が性的に強調されているなど、子供向けではないコンテンツも存在します。

保護者の方が、子供に視聴させるコンテンツを事前に確認し、適切かどうかを判断することが不可欠です。


まとめ:ASMRの感じ方は人それぞれ。科学的に自分を理解しよう

今回は、ASMRが「気持ち悪い」と感じる理由と、「心地よい」と感じる理由について、脳科学や心理学の観点から深く掘り下げてきました。

重要なのは、どちらの感覚も間違いではなく、個人の脳の特性や心理状態に根ざした自然な反応であるということです。

この記事を通して、あなたが自身の感覚に対して抱いていた疑問や不安が、少しでも解消されたなら幸いです。

この記事の要点チェックリスト

チェック項目ポイント
気持ち悪い理由脳の防御反応やミソフォニア(音嫌悪症)が関係している可能性。本能的な反応であり、異常ではない。
心地よい理由オキシトシンなどの脳内物質の分泌や、共感性を司る脳領域の活性化が快感を生み出している。
好き嫌いの違い脳のネットワーク構造(DMN)や、神経症傾向といった性格特性、過去の経験などが影響している。
苦手な人へ咀嚼音などが苦手でも、自然音作業音といった不快に感じにくいジャンルなら楽しめる可能性がある。

もしあなたがASMRに苦手意識を持っていたとしても、それはあなたの感覚が正常に機能している証拠です。

そして、もしまだ試したことのないジャンルがあるのなら、ぜひ一度、先入観を捨てて耳を傾けてみてください。

思いがけない癒やしとの出会いが、あなたを待っているかもしれません。

この記事が、あなたが自身の感覚を理解し、よりリラックスできる方法を見つける一助となれば幸いです。

参考文献

  • Current Biology, Volume 27, Issue 4, “The Brain Basis for Misophonia” (February 20, 2017)
  • PLOS ONE, “An examination of the default mode network in individuals who experience Autonomous Sensory Meridian Response (ASMR)” (March 26, 2019)
  • Frontiers in Psychology, “Untangling the tingle: Investigating the association between the Autonomous Sensory Meridian Response (ASMR), neuroticism, and trait & state anxiety” (February 27, 2018)
ASMRが気持ち悪い理由を科学的に解明!好きな人の特徴や心理との違いとは

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